はじめに
物流現場や商品管理でよく使われる言葉に「入り数(いりすう)」があります。これは、ある単位あたりに含まれている商品の個数を意味し、「1ケース=24個入り」などと表現されます。現場では日常的に使われている言葉ですが、システムを設計・運用する立場からすると、この「入り数」を正しく理解し、きちんと管理できることが非常に重要です。
というのも、取引先や業種によって単位の扱い方が異なるため、単純な数量計算だけでは済まされないからです。今回は社内SEとして私が経験してきた現場の混乱と、それを乗り越えるためにどう仕組みを作っていったのか、実体験とともにご紹介します。

「1ケース=24個」って知ってても、システムがそれを理解してないと現場は混乱しちゃうんですよね😅
入り数とは?単位の違いを理解する
入り数は、ある包装単位ごとに何個の商品が入っているかを示す数量で、物流業務において極めて重要な概念です。主に次のような単位があります:
- ピース(piece):最小単位。商品の単品個数を指します。
- ボール(ball):ピースをまとめた中間単位。例:1ボール=10ピース。
- ケース(case):ボールをまとめた外装単位。例:1ケース=10ボール=100ピース。
現場では、出荷指示・在庫管理・仕入れ・請求などの工程で、どの単位で扱うかによって取り扱いが変わります。たとえば、同じ商品でもある顧客には「ケース単位」、別の顧客には「バラ(ピース)での納品」が求められることがあります。
この単位の違いは、物流システムや販売管理システムにおいて、入力ミス・換算ミスの温床になります。だからこそ「単位の変換を自動化しつつも、誤解を防ぐ仕組み」が不可欠なのです。
システムで気をつけるべき点
システム上で入り数を扱う際には、単に「変換できればOK」ではなく、以下のような観点を意識した設計が求められます:
- 単位別の換算ロジック:1ケース=24ピースなどの情報をマスタに保持し、自動計算で誤差を防ぐ
- 表示の柔軟性:取引先や帳票種別に応じて、ピース/ボール/ケースの切り替えを行う
- 分解禁止制御:ケース単位でしか出荷できない商品に対し、ピース数での発注や出荷をブロックする制限機能
たとえばギフト商品や化粧品の詰め合わせなどは、「箱を開けてはいけない」商品として設定し、在庫登録・出荷処理・返品処理など、あらゆる場面で“ケース単位を維持する”ための制御が必要です。
実体験:うっかり分解で怒られた話
以前、ある出荷帳票の仕様設計で「ケース=24ピース」の商品を、出荷合計欄で“バラ換算”して表示してしまったことがあります。私は「総量が一目でわかって便利だろう」と思っていたのですが、それが現場で思わぬ混乱を招きました。
出荷担当者から「これ、24ピースって書いてあるけど、ケースのまま送るんだよね? うっかりバラしそうになったよ!」と、注意を受けました。しかもその商品は“ケース開封不可”だったため、もしピース単位で出荷していたら、取引先との信用問題に発展していたかもしれません。
この経験以降、私は「分解禁止」の商品にはフラグを設定し、ピース換算が帳票上に表示されないように調整。画面にも警告を出すようにして、業務上のヒューマンエラーを防ぐように設計しました。
まとめ:数字の奥にある“意味”を忘れない
入り数というのは、単なる数の変換ではなく、「どの単位で商取引が成立しているか」「その単位を壊してよいかどうか」といった実務の文脈が深く関係するテーマです。
システムに携わる立場としては、「ケース=24ピース」という数字を見たときに、その変換の裏にあるルール・慣習・顧客との合意を常に意識する必要があります。便利さを追求するあまり、現場の感覚や取引の信頼を損なっては意味がありません。
そして何より、現場と一緒に「なぜこの単位で扱うのか?」「誤って分解したらどうなるのか?」を丁寧にすり合わせることで、本当に使えるシステムが生まれるのだと私は実感しています。

「入り数=かけ算」って思ってた昔の自分に言いたい。「それ、単純な数字じゃないぞ!」って😊
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