はじめに
月次報告──それは、現場担当者が毎月訪れる“Excel地獄”の代表格です。複数拠点からの報告フォーマット、VLOOKUPだらけの管理表、どこかで数式が壊れるたびに「またか…」と頭を抱える。そんな“集計地獄”を、社内SEとしてどう解消してきたのか。今回はその“抜け道”を具体例を交えてご紹介します。
この記事では、現場のExcel集計がなぜつらいのか、その構造を分解し、Google Apps Scriptや関数自動化によってどうスリム化したかを、実例ベースで解説します。

もう「手作業で合計」は卒業したい…! 地道な苦労を、仕組みで救えるのがSEの醍醐味ですね😊
毎月繰り返される“コピー&ペースト作業”
とある物流部門では、月末になると全拠点からExcelファイルがメール添付で届き、1シートずつ集計するのが通例でした。中には、行や列の配置が微妙に異なるもの、不要な行挿入でVLOOKUPがズレるものもあり、マクロやIF文が破綻することもしばしば。
月初3日間は「集計に専念」、毎回数式ミスが見つかってやり直し──そんな悪循環を脱するには、“自動化と構造の見直し”が必要でした。
Google Apps Scriptによる自動集計の導入
まず行ったのは、フォーマットの統一とGoogle Driveでの共有管理。そして各拠点からの提出をフォーム入力方式に変更し、提出データはGoogle スプレッドシートにリアルタイム保存。
次に、GAS(Google Apps Script)で「拠点別集計」「全体統計」「差異のアラート」などを自動処理。毎月3日間かかっていた集計作業は、ボタン1つで10秒に短縮されました。
可視化と二次利用の幅を広げる
集計されたデータは、グラフ表示やCSV自動エクスポートにも対応。部門会議では、報告書用PDFをGASで生成。Slack通知連携で「〇〇拠点の報告が未提出」も自動通知できるようにしました。
これにより、単なる“数字集計”が“業務の見える化”へと昇華され、月次報告の意義が変わりました。
まとめ:Excel地獄は“仕組み”で抜けられる
月次報告の苦しさは、「作業量」ではなく「不安定さ」にあります。属人化した数式、壊れやすいリンク、操作ミスへの依存──それらを手放すことで、現場に“報告作業の余裕”が生まれます。
SEの役割は、集計という「作業」を、「運用」と「価値」に変えること。どれだけ地味でも、そこに人の苦労があるなら、必ず技術で支えられる余地があります。
Excel地獄は、道具の問題ではなく“構造”の問題。だからこそ、仕組みを変えれば、ちゃんと抜け道はあるのです。
また、月次業務は「毎月あるからこそ改善余地がある」業務です。毎回の作業をそのままにせず、「集計とはなにか」「報告の目的はなにか」を改めて見直すことで、単なる表づくりから“業務の意図を伝える”アウトプットへと進化できます。
自動化は、単に「ラクをするため」ではなく、「判断の精度と余白をつくるため」にこそ活きてきます。そこにこそ、SEの支援が活きる土壌があるのです。

地味でも「集計で消耗しない」って、現場にとっては大きな変化! 自動化って、ほんとに優しさです😊
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