はじめに
「1台にたくさん積めば、それだけ効率がいい」──物流の現場では、そんな直感が働きがちです。けれど、実際には“積みすぎ”が逆に赤字を生むケースがあるのです。
この記事では、「積載率」という一見シンプルな指標の裏にある現場のリアルと、社内SEとして見えてきた“しくみの落とし穴”を、実例と共に紹介します。

積めば積むほど赤字?そんなのアリ?って最初はびっくりしました…😅
積載率とは?基本の整理
積載率とは、トラックの積載可能量に対して、実際にどれだけ荷物を積んだかを示す割合です。
- 積載率(重量ベース) = 積載重量 ÷ 最大積載量 × 100%
- 積載率(容積ベース) = 積載体積 ÷ 積載可能体積 × 100%
これらの数値が高いほど「無駄なく積めている」ように見えますが、実際には“積みすぎ”によって別のコストが生まれるケースもあります。
事例①:満載便よりも「2便」のほうが安かった
ある倉庫では、積載率を100%に近づけるべく、1便あたりの積載量をギリギリまで増やしていました。しかし、荷積みに時間がかかりすぎ、出発が遅れて再配達率が上昇。しかも荷下ろし現場での待機時間も増加しました。
試しに「積載率80%×2便」に変更したところ、ドライバーの拘束時間が短縮され、再配達も激減。結果的にコスト削減につながりました。
事例②:配送先の“受け入れ体制”がボトルネック
別の現場では、1便に複数店舗分の荷物を混載していましたが、先に届けた店舗での荷受けが遅れ、後続店舗の到着が遅延。納品遅れのクレームが多発しました。
その後、積載率を少し下げてルート分割し、納品タイムテーブルを最適化。混載の頻度を下げるだけで、トラブルが大きく減りました。
積載率を“最大化”しないという戦略
社内SEとして、最初は「積載率は高いほうがいい」と信じていました。しかし実際は、積載効率と業務全体の最適解は別物だと気づかされます。
積載率だけをKPIにしてしまうと、ドライバーの負担や現場負荷、納品品質など「数字に表れにくいコスト」が見落とされがちです。
むしろ、積載率は“最適レンジ”を設けてコントロールすべき指標。特に繁忙期や長距離輸送では、運用全体のバランス設計が重要になります。
まとめ:「積む」だけが物流じゃない
積載率という数字にとらわれすぎると、見えないコストや人の負担を無視してしまいがちです。社内SEの立場から見れば、「積めるけど運べない」「積んでも届かない」ことをどう防ぐかが鍵になります。
数字を疑うこと、そして現場の声を拾うこと──それが、見えない赤字を防ぐしくみづくりの第一歩です。

積載率って、数字の罠にハマりやすいんですよね…📦💦
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