はじめに
「この操作、どうするんだっけ?」「聞くほどじゃないけど、ちょっとだけ不安…」──現場には、こうした“ちょっと聞きたい”が無数に存在します。放置すれば業務の遅れやミスにつながり、対応しすぎれば社内SEのリソースを圧迫する。
この記事では、社内SEとして複数の部門に対応してきた私が、「聞かれる前に応える」「聞きやすくする」「答えを一度で届ける」ためのヘルプ設計術を具体例とともにご紹介します。

「あのーちょっといいですか?」って1日5回あると、仕事にならなくなっちゃうんですよね…😊
事例①:「聞かれる前」に画面上で誘導
ある部門では、システム入力の操作ミスが頻発。理由を確認すると、「画面の意味がわからないまま自己流で進めている」ことが原因でした。そこで、私は入力欄の横に「?マーク」を設け、クリックすると簡単な説明と例が表示されるポップアップを設置。
また、操作に迷いやすい部分には、1クリックで操作マニュアルの該当ページへ飛べるリンクも追加しました。結果、ヘルプデスクへの問い合わせが月30件→12件に減少。ユーザーの“操作の不安”を事前に吸収できた好例です。
事例②:「ちょっとだけ聞きたい」を“聞きやすく”
「メールするほどじゃないけど、聞きたい」──そんなニーズに応えるため、私はLINE WORKS Botを使った質問窓口を作成。「キーワードを入力すると候補のFAQが返る」+「それでも解決しなければSEに通知が飛ぶ」二段構えの構成にしました。
結果、問い合わせの1/3はBotで自己解決。SEの対応件数は減ったにもかかわらず、「気軽に聞ける」「便利になった」と現場の満足度は上がりました。
事例③:「1回聞いたら済む」を徹底する
別の部署では、同じ質問が1週間に3回も来るという事態が発生。調査すると、「一度説明したが記録が残らず、次の人に伝わっていない」ことが原因でした。
私は、問い合わせ内容とその回答をNotionにナレッジベース化し、質問のたびに「ここに載せました」とリンクで返信。回答が残り、再利用されるようになったことで、重複質問はほぼゼロに。
まとめ:「聞かれる前」に届く仕組みを
「現場のちょっと聞きたい」は、放置すれば属人化と非効率を生みます。一方で、すべてを人力で対応するのも限界があります。だからこそ、社内SEが設計すべきは、“質問が届く前に答える仕組み”。
画面上での補足表示、Botによる候補提示、ナレッジの蓄積と再利用──これらを組み合わせることで、「ちょっとした不安」を“自己解決”へと導く土台ができます。
そして何より大事なのは、「誰かに聞くのが気まずい」「何度も聞けない」という空気をなくすこと。ヘルプ設計とは、単なるマニュアル整備ではなく、“聞きやすさ”そのものを仕組みにすることだと、私は考えています。

聞く方も、答える方も、ラクになる仕組みがあれば、みんな笑顔になれますよね😊
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