はじめに
社内SEなら必ず経験するこの問い合わせ…
「ネットに繋がらないんだけど!」
この問い合わせ、1日に何回受けていますか?
- 原因が分からず、とりあえず「再起動してみてください」で済ませてしまう
- 電話口では状況が把握できず、結局現地に行くことになる
- 対応に時間がかかり、他の業務が進まない
実は、ネットワークトラブルの原因は無限にあるように見えて、9割は同じパターンです。切り分けフローを知っておけば、電話口でも5分で原因を特定できます。
この記事では、社内SEが現場で使っている切り分け手順を公開します。

「ネット繋がらない」は社内SE永遠の課題ですよね…。でも切り分けの型を持っておくと、焦らず対応できます!
セクション1:切り分けの大原則「3つの層」を意識する
ネットワークトラブルは「どの層の問題か」を特定するのが最優先です。難しく考える必要はありません。3つの層で考えましょう。
ネットワークトラブルの3層構造
① PC側の問題(ユーザーの端末)
↓
② 社内ネットワークの問題(ルーター、スイッチ、Wi-Fi AP)
↓
③ 外部の問題(プロバイダ、Cloudflare、サイト側)
各層の主な原因
| 層 | 主な原因 |
|---|---|
| ① PC側 | Wi-Fiオフ、機内モード、ドライバ不具合、設定ミス、LANケーブル抜け |
| ② 社内ネットワーク | ルーター故障、DHCP枯渇、LANケーブル断線、Wi-Fi AP障害 |
| ③ 外部 | プロバイダ障害、Cloudflare障害、サイト側のダウン |

「どの層か」が分かれば、対応すべき人・場所が決まります。PC側ならユーザー対応、社内NWなら機器確認、外部なら待つしかない。切り分けの基本はこれだけです!
セクション2:【5分で完了】電話口で使える切り分けフロー
以下の4つの質問で、原因の方向性が9割分かります。電話口でもすぐに聞ける内容ばかりです。
切り分けフローチャート
「ネットに繋がらない」
↓
Q1. 他の人も繋がらない?
→ YES → セクション4へ(社内ネットワーク/外部の問題)
→ NO → Q2へ
↓
Q2. 他のサイトは見れる?
→ 特定サイトだけ見れない → そのサイト側の問題(様子見)
→ 全部見れない → Q3へ
↓
Q3. Wi-Fiアイコンの状態は?
→ ×マーク → Wi-Fi接続自体ができていない
→ !マーク(インターネットなし) → 接続済みだがネット不通
→ 正常アイコン → DNS/ブラウザの問題の可能性
↓
Q4. 有線?無線?
→ 無線 → セクション3-1へ
→ 有線 → セクション3-2へ
アイコン状態の見分け方
| アイコンの状態 | 意味 | 原因の方向性 |
|---|---|---|
| Wi-Fiアイコンに×マーク | Wi-Fiに接続できていない | 機内モード、Wi-Fiオフ、AP障害 |
| Wi-Fiアイコンに!マーク | 接続済みだがインターネット不通 | DHCP、DNS、ルーター問題 |
| 有線アイコンに×マーク | LANが認識されていない | ケーブル抜け、NIC故障 |
| 正常に見える | 接続は正常 | DNS、ブラウザ、特定サービスの問題 |

「他の人は繋がってる?」「アイコンに×とか!ついてない?」この2つの質問だけで、かなり絞り込めます👍
セクション3:PC側の問題を解決する
「他の人は繋がっている」「自分だけ繋がらない」場合は、PC側の問題です。有線・無線で対処法が異なります。
3-1. Wi-Fi(無線)の場合
確認ポイント:
| チェック項目 | 確認方法 |
|---|---|
| 機内モードがオンになっていないか | タスクバー右下のアイコン確認、または Fn + F2 など |
| Wi-Fiがオフになっていないか | 設定 → ネットワークとインターネット → Wi-Fi |
| 正しいSSIDに接続しているか | 接続先のネットワーク名を確認 |
| パスワードが正しいか | 一度切断して再接続を試す |
対処法(順番に試す):
- 機内モードのオン→オフ切り替え
- Wi-Fiのオフ→オン切り替え
- ネットワークに再接続(パスワード再入力)
- PCの再起動
- ネットワークアダプタの無効化→有効化
ポイント: 機内モードの切り替えは、Wi-Fiドライバをソフト的にリセットする効果があります。意外とこれだけで直ることも多いです。
3-2. 有線LANの場合
確認ポイント:
| チェック項目 | 確認方法 |
|---|---|
| LANケーブルが抜けていないか | 両端(PC側・壁/ハブ側)を目視確認 |
| LANポートのランプは点灯しているか | 緑/オレンジのランプが光っているか |
| ケーブルが断線していないか | 別のケーブルに交換して試す |
| ポートが故障していないか | 別のポートに接続して試す |
対処法(順番に試す):
- LANケーブルの抜き差し(両端)
- 別のLANケーブルに交換
- 別のLANポート(壁側/ハブ側)に接続
- PCの再起動
- ネットワークアダプタの無効化→有効化

有線の場合、物理的な問題(ケーブル断線、ポート故障)が意外と多いです。「ランプ光ってますか?」と聞くだけでも切り分けになります💡
3-3. 共通:ネットワーク設定のリセット
上記で解決しない場合、コマンドでネットワーク設定をリセットします。
管理者権限でコマンドプロンプトを開き、以下を1行ずつ実行してください。
netsh winsock reset
netsh int ip reset
ipconfig /release
ipconfig /renew
ipconfig /flushdns
実行後は必ずPCを再起動してください。
筆者の経験上、この5つのコマンドで8割のネットワークトラブルは解決します。
セクション4:複数人が繋がらない場合(社内ネットワーク/外部)
「他の人も繋がらない」場合は、PC側ではなくインフラ側の問題です。1台ずつ対応するのは非効率なので、まずネットワーク機器を確認しましょう。
4-1. 社内ネットワークの確認
確認ポイント:
| チェック項目 | 確認方法 |
|---|---|
| ルーターのランプ状態 | 異常点滅(赤ランプなど)していないか |
| 影響範囲 | 全社?特定フロア?特定部署? |
| 最近の変更 | ネットワーク機器の設定変更をしていないか |
まず試すこと:ルーターの再起動
- ルーターの電源を抜く
- 30秒〜1分待つ
- 電源を入れる
- 完全に起動するまで2〜3分待つ
これだけで解決することも多いです。
よくある原因:
| 症状 | 原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 全員繋がらない | ルーターのハングアップ | ルーター再起動 |
| 特定フロアだけ | スイッチ/Wi-Fi APの障害 | 該当機器の再起動・確認 |
| IPが169.254.x.xになる | DHCPのIPアドレス枯渇 | DHCPサーバー確認、リース期間見直し |
4-2. 外部(プロバイダ/サービス)の確認
社内機器に問題がない場合、外部の障害の可能性があります。
確認先:
| 確認項目 | 確認方法 |
|---|---|
| プロバイダ障害 | 契約プロバイダの障害情報ページ、Downdetector |
| Cloudflare障害 | https://www.cloudflarestatus.com/ |
| 特定サービスの障害 | Downdetectorで該当サービスを検索 |
外部障害の場合は、復旧を待つしかありません。ユーザーへの周知を行いましょう。

複数人が同時に繋がらない場合、PC1台ずつ対応するのは時間の無駄!まずルーター再起動を試しましょう。これだけで直ることも多いです😊
セクション5:【社内SE向け】原因特定を早めるコマンド集
電話口では解決しない場合、リモートデスクトップや訪問で確認します。以下のコマンドで原因を特定しましょう。
5-1. IPアドレスの確認
ipconfig
見るべきポイント:
| 状態 | 意味 |
|---|---|
| IPv4アドレス: 192.168.x.x | 正常(DHCPからIP取得済み) |
| IPv4アドレス: 169.254.x.x | 異常(APIPA=DHCPから取得できていない) |
| IPv4アドレス: 表示なし | 異常(ネットワーク接続自体がない) |
| デフォルトゲートウェイ: 空欄 | 異常(ルーターと通信できていない) |
169.254で始まるIPアドレスが表示されていたら、DHCPサーバーからIPを取得できていない証拠です。ルーターの問題またはネットワーク接続の問題を疑いましょう。
5-2. pingで通信経路を確認
pingコマンドで、どこまで通信できているかを確認します。
① 自分自身への通信確認
ping 127.0.0.1
② ルーター(デフォルトゲートウェイ)への通信確認
ping 192.168.1.1
※IPアドレスは環境によって異なります。ipconfigで確認した「デフォルトゲートウェイ」の値を入力してください。
③ インターネットへの通信確認
ping 8.8.8.8
④ DNS解決の確認
ping google.com
5-3. pingの結果から原因を特定
| 127.0.0.1 | ゲートウェイ | 8.8.8.8 | google.com | 原因 |
|---|---|---|---|---|
| ○ | × | × | × | PC→ルーター間の問題(ケーブル、Wi-Fi接続) |
| ○ | ○ | × | × | ルーター→外部の問題(プロバイダ障害等) |
| ○ | ○ | ○ | × | DNS設定の問題 |
| ○ | ○ | ○ | ○ | ネットワークは正常。ブラウザ/アプリ側の問題 |

pingの結果を見れば、どこで通信が止まっているか一目瞭然です。この切り分けは社内SEの基本スキル!覚えておいて損はありません👍
セクション6:【コピペで使える】ヒアリングシート
電話やチャットで問い合わせを受けた際、効率的にヒアリングするためのテンプレートです。そのまま使ってください。
【ネットワーク障害ヒアリングシート】
■ 基本情報
- 報告者:
- PC名/場所:
- 発生日時:
■ 症状(当てはまるものに○)
- □ 完全にネットに繋がらない
- □ Wi-Fiには繋がるがインターネットが使えない
- □ 特定のサイト/サービスだけ繋がらない
- □ 有線LANが認識しない
- □ 遅い/不安定
■ 状況確認
- 他の人も同じ症状が出ている?:はい/いいえ
- いつから発生?:
- 何かきっかけはあった?:
- 有線/無線どちらで接続?:
- 再起動は試した?:はい/いいえ
■ アイコンの状態
- □ Wi-Fiアイコンに×マーク
- □ Wi-Fiアイコンに!マーク(インターネットなし)
- □ 有線アイコンに×マーク
- □ 正常に見える
■ 確認コマンド結果(リモート対応時)
- ipconfig のIPアドレス:
- デフォルトゲートウェイ:
- ping 8.8.8.8 の結果:成功/失敗
- ping google.com の結果:成功/失敗

このシートを埋めるだけで、原因の8割は特定できます。新人教育にも使えるので、ぜひチームで共有してください!
セクション7:それでも解決しない場合
ここまでの方法で解決しない場合、以下を試してください。
7-1. Windowsのトラブルシューティングツール
- 「設定」→「システム」→「トラブルシューティング」
- 「その他のトラブルシューティングツール」をクリック
- 「ネットワークとインターネット」→「実行する」
7-2. ネットワークドライバの再インストール
- Win + X →「デバイスマネージャー」を開く
- 「ネットワークアダプター」を展開
- 該当アダプタを右クリック →「デバイスのアンインストール」
- 「ドライバーを削除する」にはチェックを入れない
- PCを再起動(自動でドライバ再インストール)
注意:「ドライバーを削除する」にチェックを入れてしまうと、ネットに繋がらない状態でドライバを探すことになります。必ずチェックを外してください。
7-3. ネットワークの完全リセット(最終手段)
注意: この操作を実行すると、VPN設定やWi-Fiパスワードなど、すべてのネットワーク設定が消えます。
- 「設定」→「ネットワークとインターネット」
- 「ネットワークの詳細設定」
- 「ネットワークのリセット」→「今すぐリセット」

ここまでやっても直らない場合は、ハードウェア故障の可能性も。NICの交換やPCの入れ替えを検討しましょう。
まとめ:切り分けフローを身につけよう
「ネットに繋がらない」と言われたら、以下の流れで対応しましょう。
① 他の人も繋がらない? → YES なら社内NW/外部を疑う
↓
② 特定サイトだけ? → YES ならサイト側の問題
↓
③ アイコンの状態は? → ×なら接続問題、!ならIP/DNS問題
↓
④ 有線?無線? → 物理確認(ケーブル、AP)
↓
⑤ pingで通信経路を確認
↓
⑥ コマンドでネットワークリセット
↓
⑦ それでもダメならドライバ再インストール/完全リセット
9割のネットワークトラブルは、この流れで解決できます。
切り分けの型を身につけておけば、「ネットに繋がらない」の問い合わせも怖くありません。

「ネット繋がらない」の問い合わせ、これで怖くなくなりますよ!このフローを印刷して手元に置いておくと便利です。ぜひブックマークしておいてください😊


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