はじめに
社内SEは、単なる技術職ではありません。IT知識とともに、社内調整力、現場理解、コミュニケーションスキルといった“ヒューマンスキル”も求められる、実にバランス感覚の問われる職種です。本記事では、社内SEに本当に必要なスキルを「技術」「調整力」「現場感覚」の3軸に分けて、具体例を交えながら解説していきます。
技術スキル:基盤を支える力
まず大前提として、社内SEも技術者です。インフラの整備、社内システムの運用、トラブル対応、セキュリティの担保など、「止まらない仕組み」を構築・維持するスキルは必要不可欠です。
- ネットワーク/サーバーの基礎知識
- PC・周辺機器のセットアップスキル
- 業務アプリ(Access, Excel VBA, Webツールなど)の開発/保守
- セキュリティ管理(ウイルス対策、アカウント制御、権限設計)
- クラウドサービス(Google WorkspaceやMicrosoft 365)の活用
ただし、これらはあくまで“土台”。社内SEとしての価値は、次に紹介するスキルとの掛け算で決まります。
調整力:人と仕組みをつなぐ力
社内SEが抱える業務の多くは、「現場の困りごと」と「技術的な解決策」の間に立つことです。要件を聞き出し、落としどころを探し、関係各所の納得を得ながら物事を進めるには、高い調整力が求められます。
- 上司や他部署との交渉・合意形成
- トラブル対応時の説明力と安心感
- システム導入時の段取りと周知
- マニュアル・FAQの整備と説明
調整役としての社内SEは「頼られる存在」になる一方、期待値とのギャップや社内政治の板挟みに苦しむこともあります。そのため“期待を管理する”視点が非常に重要になります。
現場感覚:ユーザー目線での発想力
「この機能、現場では本当に使うのか?」「スマホ片手で操作できる設計になっているか?」など、利用者の環境やリテラシーを想像できる力が“現場感覚”です。これは現場に足を運び、声を聞き、使ってもらう姿を見て初めて養われるものです。
- 現場の導線や作業実態を観察する力
- 「使われないシステム」を作らない工夫
- 「操作が不安」と感じる心理の想像力
- マニュアルを見ないでも使えるUI設計
これは経験と試行錯誤でしか磨けませんが、社内SEの“価値の差”はここに出ます。机上ではなく、泥臭く、使う人と向き合えるかどうか。それが信頼と成果に直結します。
まとめ
社内SEに求められるスキルは、単に「ITに詳しい」だけでは不十分です。インフラやアプリの保守運用といった技術的な基盤に加えて、ユーザーと対話し、社内の利害を調整し、現場の声を形にする“総合力”が問われる職種です。
実際、多くの社内SEは「誰かの困りごと」に対応するところから仕事が始まります。その中で「なぜ困っているのか」「どうしたら喜ばれるのか」を常に考え、仕組みへと変えていくことが、社内SEの価値を高める道です。
派手さはありませんが、現場に寄り添い、日常業務のストレスを減らし、「ちょっと便利」「ちょっと早い」を実現していく。そんな積み重ねが、会社の信頼と生産性を支えています。社内SEは、“裏方でありながら経営を支える縁の下の力持ち”として、今後ますます重要な存在になるでしょう。

調整・現場・技術のバランス…ほんとに難しい。でも、だからこそ「誰かの役に立ててる」って実感できる職種だと思います😊
コメント