PHP 8.1のセキュリティサポートが2025年12月31日で終了します。社内システムやWordPressサイトでPHPを使用している場合、バージョン確認と移行計画が急務です。
この記事では、PHP各バージョンのサポート期限と、社内SEとして押さえておくべき移行のポイントを解説します。
PHP サポート期限一覧表【2025年12月更新】
| バージョン | 初回リリース | アクティブサポート終了 | セキュリティサポート終了(EOL) | 状態 |
|---|---|---|---|---|
| PHP 8.4 | 2024年11月21日 | 2026年12月31日 | 2028年12月31日 | ✅ 推奨 |
| PHP 8.3 | 2023年11月23日 | 2025年12月31日 | 2027年12月31日 | ✅ 安定 |
| PHP 8.2 | 2022年12月8日 | 2024年12月31日 | 2026年12月31日 | ⚠️ セキュリティのみ |
| PHP 8.1 | 2021年11月25日 | 2023年11月25日 | 2025年12月31日 | 🔴 まもなくEOL |
| PHP 8.0 | 2020年11月26日 | 2022年11月26日 | 2023年11月26日 | ❌ サポート終了 |
| PHP 7.4 | 2019年11月28日 | 2021年11月28日 | 2022年11月28日 | ❌ サポート終了 |
※2024年3月のRFC承認により、セキュリティサポート期間が従来の1年から2年に延長されました。
【緊急】PHP 8.1 EOL対応チェックリスト
PHP 8.1を使用中の環境は、2025年12月31日までに対応が必要です。
Phase 1:現状把握(今すぐ実施)
# サーバーのPHPバージョン確認
php -v
# WordPressの場合:管理画面 → ツール → サイトヘルス → 情報 → サーバー
| 確認項目 | 確認方法 | チェック |
|---|---|---|
| 本番環境のPHPバージョン | php -v / サーバー管理画面 | □ |
| 開発・検証環境のPHPバージョン | 同上 | □ |
| 使用中のフレームワーク対応状況 | 公式ドキュメント確認 | □ |
| 使用中のプラグイン/ライブラリ対応状況 | 各プラグイン情報 | □ |
| レンタルサーバーのPHP提供状況 | サーバー管理画面 | □ |
Phase 2:検証環境でテスト
| 作業項目 | 内容 | チェック |
|---|---|---|
| 検証環境構築 | 本番環境のクローンを作成 | □ |
| PHP 8.3/8.4 に切り替え | サーバー設定変更 | □ |
| エラーログ確認 | Deprecated警告、Fatal Error | □ |
| 主要機能の動作確認 | ログイン、フォーム、決済等 | □ |
| 非互換コードの修正 | 必要に応じてコード改修 | □ |
Phase 3:本番移行
| 作業項目 | 内容 | チェック |
|---|---|---|
| バックアップ取得 | DB + ファイル完全バックアップ | □ |
| メンテナンス告知 | ユーザーへの事前連絡 | □ |
| PHPバージョン切り替え | 低トラフィック時間帯に実施 | □ |
| 動作確認 | 主要機能の正常動作を確認 | □ |
| 切り戻し手順確認 | 問題発生時のロールバック準備 | □ |
主要レンタルサーバーのPHP対応状況
2025年12月時点の主要レンタルサーバーのPHP提供状況です。
| サーバー | PHP 8.4 | PHP 8.3 | PHP 8.2 | PHP 8.1 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| エックスサーバー | ○ | ○ | ○ | ○ | 管理画面から切り替え可 |
| さくらのレンタルサーバ | ○ | ○ | ○ | △(非推奨) | 8.1は非推奨表示 |
| ロリポップ | ○ | ○ | ○ | ○ | CGI版/モジュール版選択可 |
| ConoHa WING | ○ | ○ | ○ | ○ | 推奨は8.3以上 |
※最新の対応状況は各サーバーの公式サイトでご確認ください。
PHP 8.x 間の主な変更点と互換性
PHP 8.1 → 8.2 の主な変更
- readonly クラスのサポート追加
- 動的プロパティの非推奨化(Deprecatedエラー発生)
- null/false/true が独立した型として使用可能に
- 文字列関数の挙動一部変更
PHP 8.2 → 8.3 の主な変更
- json_validate() 関数の追加
- クラス定数の型宣言サポート
- #[\Override] アトリビュート追加
- ランダム関数の改善
PHP 8.3 → 8.4 の主な変更
- プロパティフック(getter/setter簡略化)
- 非対称可視性(public読み取り、private書き込み)
- 新しい配列関数(array_find, array_any, array_all)
- HTML5パーサー対応
フレームワーク別 PHP対応バージョン
| フレームワーク | バージョン | PHP要件 | 備考 |
|---|---|---|---|
| WordPress | 6.7 | 7.2.24以上(8.3推奨) | 8.4対応済み |
| Laravel | 11.x | 8.2以上 | 8.4対応済み |
| Laravel | 10.x | 8.1以上 | 2025年8月EOL |
| CakePHP | 5.x | 8.1以上 | 8.4対応済み |
| CakePHP | 4.x | 7.4以上 | 2025年末EOL予定 |
| Symfony | 7.x | 8.2以上 | 8.4対応済み |
OSのバックポートサポートについて
PHPの公式サポートが終了しても、OSによっては独自にセキュリティパッチを提供(バックポート)する場合があります。
RHEL(Red Hat Enterprise Linux)の場合
| OS | PHPバージョン | バックポート期限 |
|---|---|---|
| RHEL 8 | PHP 7.4 | 2029年5月(RHEL 8 ELS終了まで) |
| RHEL 9 | PHP 8.0, 8.2, 8.3 | 各モジュールのライフサイクルに準拠 |
注意:RHEL 9ではPHP 8.1のバックポートは2025年5月末で終了しており、PHP公式より早く終了しています。
Amazon Linux 2023 の場合
提供しているPHP(8.1〜8.4)について、PHP公式のサポート期間と同期しています。PHP 8.1は2025年12月でセキュリティサポート終了となり、それ以降のバックポートは提供されません。
社内SE向け:バージョンアップ時の注意点
段階的アップグレードを推奨
PHP 7.4 → 8.4 のような大幅なバージョンアップは避け、以下のように段階的に進めることを推奨します。
PHP 7.4 → PHP 8.0 → PHP 8.1 → PHP 8.2 → PHP 8.3 → PHP 8.4
各ステップで動作確認を行い、問題を早期発見することで、トラブルシューティングが容易になります。
CakePHPを使用している場合の注意
CakePHPは直接のメジャーバージョンアップ(例:2→5)が推奨されていません。
CakePHP 2.x (PHP 5.3) → 3.x (PHP 7.4) → 4.x (PHP 8.2) → 5.x (PHP 8.4)
フレームワークとPHPの両方を段階的にアップグレードする必要があり、工数が大きくなります。早めの計画立案が重要です。
よくあるエラーと対処法
| エラー | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| Deprecated: Dynamic property | PHP 8.2で動的プロパティが非推奨 | #[\AllowDynamicProperties] 追加または修正 |
| Fatal error: Uncaught TypeError | 型の厳格化 | 引数・戻り値の型を確認 |
| Call to undefined function | 削除された関数の使用 | 代替関数に置き換え |
移行スケジュール例
PHP 8.1 EOL(2025年12月31日)に向けた移行スケジュール例です。
| 時期 | 作業内容 |
|---|---|
| 2025年12月中旬 | 現環境の棚卸し、対象システム洗い出し |
| 2026年1月 | 検証環境構築、PHP 8.3/8.4 でのテスト開始 |
| 2026年2月 | 非互換コードの改修、プラグイン更新 |
| 2026年3月 | 本番環境移行(トラフィック少ない時間帯) |
※PHP 8.1のEOL後も即座に脆弱性が発生するわけではありませんが、新たな脆弱性発見時にパッチが提供されなくなるリスクがあります。
よくある質問(FAQ)
Q. PHP 8.1のまま使い続けるとどうなる?
即座に問題が発生するわけではありませんが、新たな脆弱性が発見された場合にセキュリティパッチが提供されません。攻撃対象になるリスクが徐々に高まります。
Q. PHP 8.2 と 8.3、どちらにアップグレードすべき?
可能であればPHP 8.3以上をおすすめします。8.2は2026年末にEOLを迎えるため、8.3(2027年末EOL)または8.4(2028年末EOL)の方が長くサポートを受けられます。
Q. WordPressはPHP 8.4で動く?
WordPress 6.7以降はPHP 8.4に対応しています。ただし、使用しているプラグインやテーマの対応状況も確認が必要です。検証環境でのテストを推奨します。
Q. レンタルサーバーでPHPバージョンを変更する方法は?
多くのレンタルサーバーでは管理画面からPHPバージョンを切り替えできます。各サーバーのマニュアルをご確認ください。なお、切り替え前に必ずバックアップを取得してください。
まとめ
PHP 8.1は2025年12月31日でセキュリティサポートが終了します。
今すぐやるべきこと:
- 現在のPHPバージョンを確認(php -v)
- PHP 8.1以下の場合は移行計画を策定
- 検証環境でPHP 8.3/8.4での動作確認
- 2026年3月までに本番移行を目標
EOL後も即座に危険になるわけではありませんが、セキュリティリスクは徐々に高まります。計画的なバージョンアップを進めましょう。


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