はじめに
「昨日まで普通に使えていたPCが、今朝は電源を入れても起動しない」
冬場になると、こんな問い合わせが急増します。特に乾燥した朝、電源ボタンを押しても無反応…という報告を受けたことがある社内SEも多いのではないでしょうか。
実はこれ、静電気による「帯電」が原因であることが少なくありません。
この記事では、静電気・帯電によるPCトラブルの症状と原因、放電の具体的な手順、そして社内SEとしての対応ポイントを解説します。

300台以上のPC管理をしてきた経験上、冬場の「起動しない」問い合わせの3〜4割は放電で解決します。修理依頼の前に試す価値アリです💡
帯電によるPCトラブルの症状
PCが帯電すると、以下のような症状が発生することがあります。
- 電源ボタンを押しても反応しない(電源ランプもつかない)
- 電源は入るが画面が真っ暗(ファンは回っている)
- 起動途中でフリーズする
- 「ピーッ」「ピピピッ」とビープ音が鳴る
- キーボードやマウスが反応しない
- 使用中に突然電源が落ちる
これらの症状は故障と区別がつきにくいですが、放電処置で改善するケースが多いのが特徴です。
なぜ帯電が起きるのか
PCが帯電する原因は主に以下の4つです。
1. 空気の乾燥(冬場に多発)
湿度が低いと静電気が発生しやすくなります。特に冬場はエアコンやヒーターの使用で室内が乾燥し、PCに触れた瞬間に静電気が流れることがあります。
静電気の発生を抑えるには湿度50%以上が目安とされています。
2. ホコリの蓄積
ホコリには静電気を帯びやすい性質があります。PC内部にホコリが溜まると、静電気が蓄積されやすくなり、回路のショートや誤動作の原因になります。
3. 長時間の使用
PCを長時間使い続けると、内部のコンデンサや回路に電気が蓄積することがあります。通常は自然に放電されますが、何らかの理由で電気が溜まりすぎると不具合が発生します。
4. 充電しっぱなし(ノートPC)
ノートPCをシャットダウン後もACアダプターに接続したままにしていると、電気が供給され続け、内部に蓄積されることがあります。

冬場は「乾燥」「ホコリ」「厚着による静電気」のトリプルパンチで帯電しやすい環境になります⚡
放電の手順
帯電が疑われる場合、以下の手順で放電を行います。特別な知識は不要で、初心者でも実施できます。
ノートPCの場合
- PCの電源を切る(切れない場合は電源ボタン長押しで強制終了)
- ACアダプターを抜く
- バッテリーを取り外す(取り外せる場合)
- USBメモリやマウスなど、すべての周辺機器を取り外す
- 電源ボタンを10〜20回押す(内部の残留電気を放出)
- そのまま5〜10分放置する
- バッテリーを取り付け、ACアダプターを接続
- 電源を入れて起動を確認
バッテリーが取り外せないタイプの場合は、ACアダプターを抜いた状態で電源ボタンを30秒〜1分ほど長押しし、その後10分以上放置してください。
デスクトップPCの場合
- PCの電源を切る
- 電源ケーブルをコンセントから抜く
- モニター、キーボード、マウス以外の周辺機器を取り外す
- 電源ボタンを数回押す
- そのまま10分〜1時間放置する
- 電源ケーブルを接続し、電源を入れて起動を確認

メーカーによって推奨の放置時間が異なります。富士通は2分以上、ドスパラは1時間以上を推奨しています。迷ったら長めに放置するのが安心です🕐
本当に帯電が原因?切り分けのポイント
「起動しない」という問い合わせに対して、本当に帯電が原因なのかを切り分けるポイントをまとめます。
帯電の可能性が高いケース
- 昨日まで正常に動いていた
- 冬場・乾燥した時期に発生
- 朝一番の起動時に発生(夜間に帯電が蓄積)
- 電源ランプがつかない、または一瞬だけつく
- ファンが回らない
帯電以外を疑うケース
- 焦げ臭いにおいがする → ハードウェア故障
- 異音がする(カチカチ、ジージー) → HDD/電源故障
- Windowsロゴまでは表示される → OS・ソフトウェアの問題
- ブルースクリーンが表示される → ドライバ・メモリの問題
- 落下や水濡れの後に発生 → 物理的な故障

ヘルプデスクで「静電気ですかね?」と聞かれることがありますが、上記のポイントで切り分けると判断しやすいです📋
放電で改善しない場合
放電を試しても症状が改善しない場合は、帯電以外の原因が考えられます。
メモリの再装着を試す
メモリの接触不良が原因でビープ音が鳴ったり、起動しないことがあります。静電気対策をした上で、メモリを一度抜いて再装着してみてください。
作業前に必ず金属に触れて、体の静電気を逃がしてから行いましょう。
結露を疑う(冬場)
寒い場所から暖かい室内にPCを持ち込んだ場合、内部で結露が発生している可能性があります。結露した状態で電源を入れるとショートの原因になるため、室温に馴染むまで30分〜1時間待ってから起動してください。
ハードウェア故障の可能性
以下の場合は、電源ユニットやマザーボードなどの故障が疑われます。
- 放電しても全く改善しない
- 焦げ臭いにおいがする
- 異音がする
- 電源ランプが点滅を繰り返す
この場合は無理に起動を試みず、メーカーサポートや修理業者に相談してください。
帯電を予防する方法
日頃から以下の対策を行うことで、帯電によるトラブルを防げます。
室内の湿度を保つ
加湿器を使用して、室内の湿度を50%以上に保ちましょう。湿度が高いと静電気が発生しにくくなります。
PCを触る前に静電気を逃がす
PCに触れる前に、ドアノブや水道の蛇口などの金属部分に触れて体の静電気を放電しておきましょう。手を洗うのも効果的です。
定期的にホコリを除去する
PC周辺やキーボード、排気口のホコリを定期的に掃除しましょう。エアダスターを使うと内部のホコリも除去できます。
衣服の素材に注意する
ナイロンやウール(プラスに帯電しやすい)と、ポリエステルやアクリル(マイナスに帯電しやすい)の組み合わせは静電気が発生しやすくなります。PC作業時は、なるべく綿素材の服を着るのがおすすめです。
使わない時は電源プラグを抜く
長期間使用しない場合は、コンセントから電源プラグを抜いておくと帯電を防げます。
社内SEとしての対応フロー
「PCが起動しない」という問い合わせを受けた際の対応フローをまとめます。
電話・チャットでの一次対応
- 状況確認:「電源ボタンを押すとどうなりますか?」(ランプ・ファン・画面の状態)
- 基本確認:電源ケーブル・ACアダプターの接続、電源タップのスイッチ
- 放電の案内:上記の手順を伝える
- 結果確認:改善したか、しなかったかを確認
改善しない場合は、現地対応または代替機の手配に進みます。
ユーザーへの案内テンプレート(電話用)
「静電気が原因で起動しない可能性があります。放電という作業を試していただけますか?」
「まず、電源ケーブル(ノートPCの場合はACアダプター)を抜いてください」
「次に、電源ボタンを10回ほど押してください」
「そのまま5分〜10分ほど放置してから、ケーブルを接続して電源を入れてみてください」
社員向け周知文のテンプレート
冬場に備えて、以下のような周知を行っておくと問い合わせを減らせます。
【冬場のPCトラブル防止のお願い】
冬場は静電気によりPCが起動しなくなることがあります。以下の点にご注意ください。
■予防策
・PCに触れる前に、ドアノブなど金属部分に触れて静電気を逃がす
・デスク周りのホコリをこまめに除去する■起動しない場合の対処
・電源ケーブルを抜いて10分ほど放置してから再度お試しください
・改善しない場合は情報システム部(内線:XXXX)までご連絡ください■ノートPC持ち出し時の注意
・寒い場所から戻ったら、30分ほど室温に馴染ませてから起動してください(結露防止)

この周知を11月頃に出しておくと、12〜2月の問い合わせがグッと減ります。毎年恒例の周知にしておくのがおすすめです📢
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 症状 | 電源が入らない、画面が真っ暗、フリーズなど |
| 原因 | 乾燥、ホコリ、長時間使用による静電気の蓄積 |
| 対処法 | 電源ケーブル・バッテリーを外して放電 |
| 放置時間 | 5分〜1時間(メーカーにより異なる) |
| 予防策 | 湿度管理、ホコリ除去、金属に触れてから操作 |
冬場にPCが起動しないトラブルは、放電で解決できるケースが多いです。故障と決めつけて修理に出す前に、まずは放電を試してみてください。
社内SEとしては、冬本番前に周知を出しておくことで問い合わせ対応の負担を軽減できます。また、「帯電か故障か」の切り分けポイントを押さえておくと、スムーズな対応が可能です。

周知文と対応フローはコピペで使えるようにしています。参考になれば嬉しいです👍


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