はじめに
「ネットが遅い原因を調べて報告して」
上司からこう言われたとき、技術的に正確な報告をしたのに「で、結局どうすればいいの?」と言われた経験はないでしょうか。
社内SEの報告が伝わらない原因は、技術的な正確さと、上司が求める情報のギャップにあります。上司が知りたいのは技術的な詳細ではなく、「何が起きていて」「どうすれば解決して」「いくらかかるのか」です。
本記事では、非エンジニアの上司に伝わる報告書の書き方と、そのまま使えるテンプレートを紹介します。

技術的に正しいことと、上司に伝わることは別物です💦 「で?」と言われない報告書の書き方、解説します!
上司が知りたい4つのこと
非エンジニアの上司が報告を受けて判断するために必要な情報は、以下の4つだけです。
| 項目 | 上司の頭の中 |
|---|---|
| ①現象 | 何が起きているのか?どれくらい困っているのか? |
| ②原因 | なぜ起きているのか?誰の責任か? |
| ③対策 | どうすれば解決するのか?選択肢はあるか? |
| ④費用 | いくらかかるのか?予算内か? |
この4つが揃っていれば、上司は判断できます。逆に言えば、この4つが揃っていない報告は「で、どうすればいいの?」と返されます。
NG例:技術用語だらけの報告
まずは、よくあるNG例を見てみましょう。
【報告】ネットワーク遅延について
調査の結果、L3スイッチのスループットが低下しており、
パケットロスが発生していることが判明しました。
原因はVLAN間ルーティングの負荷増大と推測されます。
QoS設定の見直しまたは機器のリプレースが必要です。
何がダメなのか?
- 「L3スイッチ」「スループット」「パケットロス」「VLAN」「QoS」など専門用語が多すぎる
- 業務への影響が書かれていない
- 費用が書かれていない
- どの対策を推奨するのか書かれていない
これでは上司は判断できません。

技術者同士なら通じる報告も、上司には「で?」となります😅 翻訳が必要なんです!
OK例:判断材料が揃った報告
同じ内容を、上司が判断できる形に書き直すとこうなります。
【報告】社内ネットワーク遅延について
■ 現象
社内ネットワークが遅く、Web会議の映像が固まる、
ファイルサーバーへのアクセスに時間がかかる等の
業務影響が発生しています。
■ 原因
ネットワーク機器(中継装置)の処理能力が限界に達しています。
5年前の導入時と比べ、社員数の増加とWeb会議の普及により
通信量が約3倍に増えたことが原因です。
■ 影響範囲
全社員(約100名)に影響。特にWeb会議が多い営業部・企画部で
顕著です。
■ 対策案
【案A】機器の設定変更(応急処置)
・費用:0円
・効果:一時的に改善するが根本解決にならない
・期間:即日対応可能
【案B】機器の入れ替え(根本解決)
・費用:約50万円
・効果:現在の3倍の通信量に対応可能
・期間:発注から2週間
■ 推奨
案Bを推奨します。
現状の通信量増加ペースを考えると、案Aでは半年後に
再び同じ問題が発生する可能性が高いためです。
何が良いのか?
- 専門用語を使わず、業務への影響を具体的に書いている
- 原因を「通信量が3倍になった」と数字で示している
- 対策を複数提示し、費用・効果・期間を比較できる
- 推奨案とその理由が明確
これなら上司は「案Bで進めて」と判断できます。

ポイントは「判断材料を揃える」こと!上司が「YES/NO」を言えるレベルまで落とし込みましょう👍
報告書テンプレート
そのままコピペで使えるテンプレートを用意しました。
【報告】○○○○について
■ 現象
(何が起きているか、業務への影響を具体的に)
■ 原因
(なぜ起きているか、専門用語を使わずに説明)
■ 影響範囲
(誰に影響があるか、何名程度か)
■ 対策案
【案A】○○○○
・費用:○○円
・効果:○○○○
・期間:○○
【案B】○○○○
・費用:○○円
・効果:○○○○
・期間:○○
【案C】現状維持(対策しない)
・費用:0円
・リスク:○○○○
■ 推奨
案○を推奨します。
理由:○○○○
エビデンスの添付方法
報告書の説得力を高めるために、エビデンス(証拠)を添付することをおすすめします。
添付すべきエビデンス
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 速度測定結果 | speedtestのスクリーンショット(日時入り) |
| 障害発生ログ | 発生日時・復旧日時の一覧 |
| ユーザーからの報告 | 問い合わせ件数、部署別の内訳 |
| 見積書 | 対策にかかる費用の根拠 |
添付の仕方
- 報告書本文は1ページに収める
- エビデンスは「別紙」として添付
- 本文中で「詳細は別紙参照」と記載
上司が詳細を確認したいときだけ見られるようにしておくのがポイントです。本文に詰め込みすぎると読まれません。

エビデンスは「聞かれたら出せる」状態にしておけばOK📎 本文はシンプルに!
「対策しない」も選択肢として提示する
意外と忘れがちなのが、「対策しない」という選択肢を明示することです。
対策には必ずコストがかかります。そのコストに見合わないと判断されれば、「今は対策しない」という判断もあり得ます。
「対策しない」の書き方
【案C】現状維持(対策しない)
・費用:0円
・リスク:
- 業務効率の低下が継続(Web会議の品質低下、ファイル転送の遅延)
- 半年後にはさらに状況が悪化する可能性あり
- 障害発生時の復旧に時間がかかる可能性あり
「対策しない場合のリスク」を明示することで、上司が判断しやすくなります。また、後から「なぜ対策しなかったのか」と言われた際の記録にもなります。

「対策しない」を選択肢に入れることで、上司も「費用対効果」で判断できます💡 情シスの責任回避にもなりますよ!
専門用語の言い換え例
報告書を書く際に使える、専門用語の言い換え例をまとめました。
| 専門用語 | 言い換え例 |
|---|---|
| スループット | 通信速度、処理能力 |
| パケットロス | 通信データの欠落、通信の途切れ |
| レイテンシ | 応答の遅れ、待ち時間 |
| 帯域 | 通信の容量、道路の車線数のようなもの |
| L3スイッチ | ネットワーク機器、中継装置 |
| ルーター | インターネットに繋ぐための機器 |
| ONU | 光回線の終端装置、光回線の入口 |
| VLAN | ネットワークのグループ分け |
| QoS | 通信の優先順位付け |
| リプレース | 機器の入れ替え、更新 |
まとめ
上司への報告で押さえるべきポイントは以下の通りです。
- 上司が知りたい4つを揃える(現象・原因・対策・費用)
- 専門用語を使わない(業務への影響を具体的に)
- 対策は複数提示(費用・効果・期間を比較できるように)
- 「対策しない」も選択肢に入れる(リスクを明示)
- 推奨案と理由を明確にする(上司がYES/NOを言えるように)
技術的に正しいことと、上司に伝わることは別物です。報告書は「上司が判断するための資料」と割り切って、判断材料を揃えることに集中しましょう。

この報告書テンプレート、私も実際に使っています!「で?」と言われなくなりますよ😊


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