はじめに
「キッティングとセットアップって何が違うの?」
IT業界では当たり前のように使われる言葉ですが、明確な違いを説明できる人は意外と少ないです。新人SEや情シス担当者から質問されることも多いのではないでしょうか。
この記事では、キッティングとセットアップの違いを実務の視点から解説します。

10年間、社内SEとして数百台のPC導入に携わってきた経験からお伝えします👍
結論:キッティングとセットアップの違い
先に結論をお伝えします。
| 項目 | キッティング | セットアップ |
|---|---|---|
| 意味 | 業務で使える状態に仕上げる一連の作業 | 機器やソフトを使用可能にする作業 |
| 対象 | 複数台を一括で行うことが多い | 個別の機器・ソフト単位 |
| 範囲 | 広い(ハード・ソフト・設定・検品まで) | 狭い(初期設定が中心) |
| 使用場面 | PC導入・入替プロジェクト | 日常的な機器設定 |
簡単に言えば、セットアップはキッティングの一部です。キッティングの中にセットアップ作業が含まれています。
キッティングとは
語源と意味
キッティング(Kitting)は、英語の「Kit(道具一式・装備)」が語源です。IT機器を業務で使用できる状態に準備する一連の作業全体を指します。
もともとは製造業で「部品を一式揃える作業」を意味していましたが、IT業界では「PCを業務で使える状態に仕上げる作業」として定着しました。
キッティングに含まれる作業
キッティングには以下のような作業が含まれます。
- 開梱・外観検品
- OSのインストール・アップデート
- ドライバのインストール
- 業務アプリケーションのインストール
- ネットワーク設定(IPアドレス、プロキシなど)
- セキュリティ設定(ウイルス対策、BitLockerなど)
- ドメイン参加・ユーザー設定
- プリンター設定
- 動作確認・検品
- 資産管理ラベルの貼付
- 梱包・配送準備
つまり、箱から出して、ユーザーに渡せる状態にするまでの全工程がキッティングです。

大量導入のときは「キッティング手順書」を作成して、誰がやっても同じ状態に仕上がるようにします📋
セットアップとは
語源と意味
セットアップ(Setup)は、「Set up(準備する・設定する)」が語源です。機器やソフトウェアを使用可能な状態にする作業を指します。
キッティングより広い意味で使われ、IT以外の分野でも一般的に使用される言葉です。
セットアップの使用例
- 「PCの初期セットアップ」
- 「Officeのセットアップ」
- 「プリンターのセットアップ」
- 「ネットワークのセットアップ」
このように、セットアップは個別の機器やソフトウェアの初期設定に対して使うことが多いです。
キッティングとセットアップの関係
両者の関係を図で表すと以下のようになります。
┌─────────────────────────────────────┐
│ キッティング │
│ ┌─────────────────────────────┐ │
│ │ 開梱・検品 │ │
│ └─────────────────────────────┘ │
│ ┌─────────────────────────────┐ │
│ │ セットアップ(OS・アプリ) │ │
│ └─────────────────────────────┘ │
│ ┌─────────────────────────────┐ │
│ │ セットアップ(ネットワーク) │ │
│ └─────────────────────────────┘ │
│ ┌─────────────────────────────┐ │
│ │ 動作確認・検品 │ │
│ └─────────────────────────────┘ │
│ ┌─────────────────────────────┐ │
│ │ ラベル貼付・梱包 │ │
│ └─────────────────────────────┘ │
└─────────────────────────────────────┘
キッティングは工程全体を指し、セットアップはその中の設定作業を指します。
実務での使い分け
「キッティング」を使う場面
- PC入替プロジェクトの計画時
- 新入社員向けPC準備
- 外部業者への発注時(「キッティング作業を委託」)
- 作業工数の見積もり時
「セットアップ」を使う場面
- 個別のPC設定作業
- ソフトウェアのインストール
- ユーザーへの説明時(「初期セットアップは完了しています」)
- 日常的な機器設定

ベンダーとの会話では「キッティング」、ユーザーへの説明では「セットアップ」を使うことが多いです💡
混同されやすい理由
キッティングとセットアップが混同されやすいのには理由があります。
1. 明確な定義がない
JISやISOで定義されているわけではなく、業界慣習として使われています。会社やベンダーによって解釈が異なることもあります。
2. 小規模だと区別する必要がない
1〜2台のPC設定なら「セットアップしておいて」で十分伝わります。大量導入のときに初めて「キッティング」という言葉が必要になります。
3. 求人票での混用
IT派遣の求人では「キッティング・セットアップ作業」とセットで記載されることが多く、同じ意味だと誤解されがちです。
関連用語との違い
似た用語との違いも整理しておきます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| キッティング | 業務で使える状態に仕上げる一連の作業 |
| セットアップ | 機器・ソフトを使用可能にする作業 |
| インストール | ソフトウェアをPCに導入する作業 |
| デプロイ(展開) | マスターイメージを複数台に配布する作業 |
| プロビジョニング | リソースを準備・割り当てる作業 |
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| キッティング | 業務で使える状態に仕上げる一連の作業全体 |
| セットアップ | 機器・ソフトを使用可能にする個別の作業 |
| 関係 | セットアップはキッティングの一部 |
| 使い分け | 大量導入→キッティング、個別設定→セットアップ |
キッティングはプロジェクト全体、セットアップは個別の設定作業と覚えておけば、実務で困ることはありません。
厳密な定義にこだわるより、相手に伝わる言葉を選ぶことが大切です。

この記事が用語の理解に役立てば嬉しいです。キッティング手順書のサンプルも別記事で公開していますので、ぜひご覧ください🚀


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