はじめに
「ネット遅いんだけど」
社内SEなら何度も聞いたことがあるフレーズではないでしょうか。情シスへの問い合わせで最も多いのが、この「ネットが遅い」という訴えです。
しかし実際に調べてみると、原因の8割は情シスの責任範囲外にあります。PCの問題、ISPの障害、利用しているWebサービス側の問題など、社内ネットワークとは無関係なケースがほとんどです。
問題は「遅い」という曖昧な訴えに対して、どう切り分け、どう説明するかです。本記事では現場で使える5ステップの切り分けフローと、責任範囲を明確にする伝え方を解説します。

「ネット遅い」は情シス最頻出の問い合わせです💦 切り分けができれば「情シスのせい」にされることを防げます!
STEP1:誰が遅いのか確認する
最初に確認すべきは「遅いのはあなただけか、他の人もか」という点です。この質問だけで、調査範囲を大幅に絞り込めます。
| パターン | 原因の可能性 |
|---|---|
| 1人だけ遅い | PC側の問題が濃厚 |
| 同じ島の複数人が遅い | 島ハブ・LANケーブルの問題 |
| フロア全体が遅い | フロアスイッチ・無線APの問題 |
| 全社的に遅い | ルーター・回線・ISPの問題 |
1人だけなら情シスが対応すべき範囲ではない可能性が高いです。まずはこの切り分けから始めましょう。
STEP2:有線か無線か確認する
次に確認するのは接続方法です。
| 状況 | 原因の可能性 |
|---|---|
| 無線(WiFi)だけ遅い | 電波干渉、アクセスポイントの問題 |
| 有線でも遅い | より上流(ルーター、回線)の問題 |
見落としがちなのが「LANケーブルが抜けてWiFiで繋がっているパターン」です。本人は有線のつもりでも、実際には遅いWiFiで接続されていることがあります。
タスクバーのネットワークアイコンで接続状態を確認させましょう。

LANケーブルが抜けてることに気づかず「有線なのに遅い!」というパターン、意外と多いです😅
STEP3:時間帯を確認する
「いつも遅いのか、特定の時間だけ遅いのか」を確認します。特定の時間帯だけ遅い場合、以下の原因が考えられます。
| 時間帯 | 原因の可能性 |
|---|---|
| 始業直後(9時台) | 一斉ログイン、メール同期 |
| 昼休み | 動画視聴、私用利用 |
| 毎月第2火曜の翌日 | Windows Update |
| 会議が多い時間帯 | Web会議による帯域圧迫 |
特定時間帯だけの問題であれば、帯域の一時的な逼迫であり、回線やNW機器の問題ではありません。
STEP4:speedtestで数値化する
「遅い」は主観です。数値で記録することで、客観的な判断材料になります。
速度測定の方法
- ブラウザで「Google スピードテスト」と検索
- 「速度テストを実行」をクリック
- 結果をスクリーンショットで保存
または Fast.com でも測定できます。
速度の目安
| 用途 | 必要な速度 |
|---|---|
| メール・Web閲覧 | 1〜3Mbps |
| Web会議(Zoom等) | 10〜30Mbps |
| 大容量ファイル転送 | 50〜100Mbps以上 |
スクショを残しておくことで、後から「いつ、どの程度遅かったか」を証明できます。

「遅い」を数値化することで、感覚的な訴えを客観的な事実に変えられます📊 エビデンスは情シスの味方!
STEP5:責任範囲を特定する
切り分けの結果、原因がどの範囲にあるかを特定します。責任範囲は大きく4つに分類できます。
| 分類 | 具体例 | 情シスの責任 |
|---|---|---|
| ①PC側 | スペック不足、常駐ソフト、ブラウザのタブ開きすぎ | ×(ユーザー側) |
| ②社内NW | ハブ故障、LANケーブル断線、AP設定 | ○(情シス) |
| ③ISP・回線 | プロバイダ障害、回線工事、帯域不足 | △(報告・エスカレーション) |
| ④サービス側 | 利用中のクラウドサービスの障害 | ×(外部要因) |
情シスが直接対応すべきは「②社内NW」だけです。それ以外は、原因を特定して関係者に伝えることが情シスの役割です。
責任範囲別・説明フレーズ集
切り分け結果を伝える際に使えるフレーズをまとめました。そのままコピペで使えます。
①PC側の問題の場合
回線速度を測定したところ、ネットワーク自体は正常です(○○Mbps)。
PC側の問題の可能性が高いため、以下をお試しください。
・PCの再起動
・不要なブラウザタブを閉じる
・常駐ソフトの確認
②社内NWの問題の場合
調査の結果、○○(ハブ/AP等)に問題が見つかりました。
現在対応中です。復旧見込みは○時頃です。
③ISP・回線の問題の場合
プロバイダ(○○)で障害が発生しています。
復旧はプロバイダ側の対応待ちとなります。
状況が分かり次第、改めてご連絡します。
④サービス側の問題の場合
○○(サービス名)側で障害が発生しているようです。
社内ネットワークには問題ありません。
サービス提供元の復旧をお待ちください。

「情シスのせいじゃない」と言うのではなく、「原因はここで、対応はこうです」と伝えるのがポイントです👍
切り分けチェックリスト
「ネット遅い」の問い合わせ時に使えるチェックリストです。
【ネット遅い 切り分けチェックリスト】
■ STEP1:範囲の確認
- □ 遅いのは1人だけ? 複数人? 全社?
- □ 1人だけ → PC側の問題を疑う
■ STEP2:接続方法の確認
- □ 有線接続か無線接続か?
- □ LANケーブルは抜けていないか?
- □ タスクバーのアイコンで接続状態を確認
■ STEP3:時間帯の確認
- □ 特定の時間帯だけ遅いか?
- □ Windows Update日(第2火曜翌日)ではないか?
■ STEP4:数値化
- □ speedtest結果をスクショで保存
- □ 下り○○Mbps / 上り○○Mbps
■ STEP5:責任範囲の特定
- □ PC側 / 社内NW / ISP / サービス側 のどれか?
- □ 対応方針を決定
まとめ
「ネット遅い」と言われたら、以下の5ステップで切り分けましょう。
- 誰が遅いか(1人/複数人/全社)
- 有線か無線か(接続方法の確認)
- 時間帯(特定時間だけか常時か)
- speedtestで数値化(エビデンス確保)
- 責任範囲を特定(PC/社内NW/ISP/サービス)
切り分けができれば「情シスのせい」にされることはありません。記録を残し、責任範囲を明確に伝えることが、社内SEの身を守る最大の武器です。

この切り分けフロー、私も毎日使っています!ぜひ活用してくださいね😊


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