はじめに
社内ヘルプデスク、こんな状況になっていませんか?
- 「パスワード忘れた」「プリンタ動かない」の対応で1日が終わる
- 同じ質問に何度も答えている
- 誰が何を対応したか把握できない
- 本来やりたい仕事(改善・企画)に手が回らない
- 有料ツールを入れる予算もない
私は社内SEとして10年間、9社でひとり情シス〜少人数チームを経験してきました。その中で「無料ツールだけで問い合わせを半減させた」方法をまとめました。
この記事では、Googleスプレッドシート、Googleフォーム、GAS(Google Apps Script)を使って、今日から始められるヘルプデスク効率化を解説します。テンプレートはすべてコピペOKです。

ZendeskやFreshdeskは月数万円…。予算がない現場でも効率化は可能です💪
セクション1:まず「現状把握」から始める
効率化の第一歩は、「何に時間を取られているか」を可視化することです。
1-1. 1週間だけ記録してみる
まずは1週間、問い合わせ内容を記録してください。細かくなくてOK。以下の項目だけで十分です。
【記録する項目】
・日時
・依頼者(部署)
・内容(ざっくり)
・対応時間
・解決方法
1-2. 集計すると見えてくること
私が過去に記録した結果がこちらです。
| カテゴリ | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| パスワード関連 | 12件 | 24% |
| プリンタ関連 | 8件 | 16% |
| Office操作方法 | 7件 | 14% |
| ネットワーク接続 | 6件 | 12% |
| 業務システム操作 | 5件 | 10% |
| その他 | 12件 | 24% |
上位5カテゴリで76%。つまり、この5つをFAQ化すれば問い合わせの大半を削減できます。

感覚で「多い気がする」より、数字で見ると優先順位がハッキリしますよ📊
セクション2:【テンプレ付き】問い合わせ管理シート
メールやチャットでバラバラに来る問い合わせを、1つのシートで管理するだけで対応漏れが激減します。
2-1. Googleスプレッドシートで作る管理表
以下の構成で作成します。そのままコピーして使ってください。
【問い合わせ管理シート - 列構成】
A列:No.(連番)
B列:受付日時
C列:依頼者名
D列:部署
E列:問い合わせ内容
F列:カテゴリ(プルダウン:パスワード/プリンタ/ネットワーク/Office/業務システム/その他)
G列:優先度(プルダウン:高/中/低)
H列:ステータス(プルダウン:未着手/対応中/完了/保留)
I列:担当者
J列:対応内容
K列:完了日時
L列:対応時間(分)
M列:備考
2-2. ポイント:プルダウンで入力を統一
カテゴリとステータスは必ずプルダウンにしてください。自由入力だと集計できません。
プルダウン設定方法:
1. 該当列を選択
2. 「データ」→「データの入力規則」
3. 「条件」で「リストを直接指定」を選択
4. 選択肢をカンマ区切りで入力
例:未着手,対応中,完了,保留
2-3. 条件付き書式で「未対応」を目立たせる
ステータスが「未着手」の行を赤くすると、対応漏れが一目でわかります。
【条件付き書式の設定】
1. 全体を選択(A:M)
2. 「表示形式」→「条件付き書式」
3. 「カスタム数式」を選択
4. 数式:=$H1="未着手"
5. 書式:背景色を薄い赤に設定

これだけで「誰が何を対応中か」が見える化できます。ZendeskやBacklogと同じ効果がタダで!
セクション3:【テンプレ付き】社内FAQで問い合わせを減らす
「同じ質問に何度も答える」を解消する最強の方法がFAQです。
3-1. FAQは「見てもらえる場所」に置く
FAQを作っても見てもらえなければ意味がありません。設置場所が重要です。
おすすめの設置場所:
- 社内ポータルのトップページ
- 社内チャット(Slack/Teams)の固定メッセージ
- デスクトップにショートカット配置(キッティング時に設定)
- 問い合わせフォームの送信前に表示
3-2. FAQテンプレート(コピペOK)
Googleドキュメントまたはスプレッドシートで作成します。
【社内FAQ テンプレート】
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■ パスワード関連
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Q. パスワードを忘れました
A. 以下の手順でリセットできます。
1. ログイン画面で「パスワードを忘れた場合」をクリック
2. 登録メールアドレスを入力
3. 届いたメールのリンクから再設定
※5分経ってもメールが届かない場合は情シスへ連絡
Q. パスワードの変更方法は?
A. 設定画面から変更できます。
1. 右上のアイコン→「設定」
2. 「セキュリティ」タブ
3. 「パスワード変更」をクリック
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■ プリンタ関連
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Q. プリンタで印刷できない
A. 以下を順番に確認してください。
1. プリンタの電源は入っていますか?
2. 用紙は入っていますか?
3. PCとプリンタは同じネットワークですか?
4. 印刷キューに溜まっていませんか?
→ コントロールパネル→デバイスとプリンター→該当プリンタを右クリック→印刷キューを確認
上記で解決しない場合は情シスへ連絡
Q. 両面印刷の設定方法は?
A. 印刷ダイアログで設定します。
1. 「Ctrl + P」で印刷画面を開く
2. 「プリンターのプロパティ」をクリック
3. 「両面印刷」にチェック
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■ ネットワーク関連
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Q. インターネットに繋がらない
A. 以下を順番に試してください。
1. Wi-Fiアイコンを確認(接続済みか?)
2. 他のサイトも見れないか確認
3. PCを再起動
4. ルーターを再起動(電源抜いて10秒待って挿す)
解決しない場合は情シスへ連絡
Q. 共有フォルダにアクセスできない
A. 以下を確認してください。
1. VPNに接続していますか?(社外の場合)
2. フォルダのパスは正しいですか?
3. アクセス権限はありますか?→上長に確認
技術的な問題の場合は情シスへ連絡
3-3. FAQ活用のコツ
① 問い合わせ対応時に「FAQのここ見て」と返す
毎回丁寧に説明するのではなく、FAQのリンクを送る習慣をつけます。これで「FAQを見る文化」が根付きます。
② 問い合わせが来たらFAQに追加
「2回以上聞かれたらFAQに追加」をルール化。FAQは生き物なので、常に更新します。
③ スクリーンショットを多用
文字だけより、画面キャプチャがあると理解度が格段に上がります。

「FAQあるのに見ない!」という声、よく聞きます。でも「見やすい場所」に置いて「リンクを送る習慣」をつけると、意外と見てもらえるようになりますよ✨
セクション4:Googleフォーム×GASで問い合わせ受付を自動化
「メールで来たり、チャットで来たり、直接来たり…」を一本化するのがGoogleフォームです。
4-1. 問い合わせフォームの作り方
Googleフォームで以下の項目を設定します。
【問い合わせフォーム - 項目】
1. お名前(記述式・必須)
2. 部署(プルダウン・必須)
→ 営業部/総務部/経理部/開発部/その他
3. カテゴリ(プルダウン・必須)
→ パスワード/プリンタ/ネットワーク/Office/業務システム/その他
4. 緊急度(ラジオボタン・必須)
→ 高(業務停止)/中(困っているが回避策あり)/低(いつでもOK)
5. 問い合わせ内容(段落・必須)
6. スクリーンショット(ファイルアップロード・任意)
4-2. スプレッドシートに自動記録
フォームの回答をスプレッドシートに連携すれば、自動で管理表が作成されます。
【設定方法】
1. Googleフォームの「回答」タブを開く
2. 「スプレッドシートにリンク」をクリック
3. 「新しいスプレッドシートを作成」を選択
4-3. GASでSlack/メール通知を自動化
フォーム送信時に自動で通知が届くようにします。
【メール通知版】GASコード(コピペOK)
function sendMailOnFormSubmit(e) {
// 送信先メールアドレス
var recipient = "your-email@example.com";
// フォームの回答を取得
var responses = e.values;
var timestamp = responses[0];
var name = responses[1];
var department = responses[2];
var category = responses[3];
var urgency = responses[4];
var content = responses[5];
// メール件名
var subject = "【問い合わせ】" + category + "(" + urgency + ")- " + name;
// メール本文
var body = "新しい問い合わせが届きました。\n\n" +
"━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━\n" +
"【受付日時】" + timestamp + "\n" +
"【依頼者】" + name + "(" + department + ")\n" +
"【カテゴリ】" + category + "\n" +
"【緊急度】" + urgency + "\n" +
"━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━\n\n" +
"【内容】\n" + content + "\n\n" +
"━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━\n" +
"管理シート:https://docs.google.com/spreadsheets/d/xxxxx";
// メール送信
GmailApp.sendEmail(recipient, subject, body);
}
// ========================================
// 【設定方法】
// 1. Googleフォームのスプレッドシートを開く
// 2. 「拡張機能」→「Apps Script」
// 3. 上記コードを貼り付け
// 4. recipient のメールアドレスを変更
// 5. 管理シートのURLを変更
// 6. 「トリガー」→「トリガーを追加」
// 7. 関数:sendMailOnFormSubmit
// イベント:スプレッドシートから / フォーム送信時
// ========================================
【Slack通知版】GASコード(コピペOK)
function sendSlackOnFormSubmit(e) {
// Slack Webhook URL(Slackアプリで取得)
var webhookUrl = "https://hooks.slack.com/services/xxxxx/xxxxx/xxxxx";
// フォームの回答を取得
var responses = e.values;
var timestamp = responses[0];
var name = responses[1];
var department = responses[2];
var category = responses[3];
var urgency = responses[4];
var content = responses[5];
// 緊急度に応じた絵文字
var emoji = urgency === "高(業務停止)" ? "🔴" :
urgency === "中(困っているが回避策あり)" ? "🟡" : "🟢";
// Slackメッセージ
var message = {
"text": emoji + " 新しい問い合わせ",
"attachments": [{
"color": urgency === "高(業務停止)" ? "danger" : "warning",
"fields": [
{"title": "依頼者", "value": name + "(" + department + ")", "short": true},
{"title": "カテゴリ", "value": category, "short": true},
{"title": "緊急度", "value": urgency, "short": true},
{"title": "内容", "value": content, "short": false}
]
}]
};
// Slack送信
var options = {
"method": "post",
"contentType": "application/json",
"payload": JSON.stringify(message)
};
UrlFetchApp.fetch(webhookUrl, options);
}

これで「問い合わせが来たらSlackに通知→管理シートに自動記録」の仕組みが完成です!全部無料✨
セクション5:さらに効率化する小技
5-1. 定型文をユーザー辞書に登録
よく使う回答は、ユーザー辞書に登録しておくと便利です。
【登録例】
「pw」→「パスワードのリセット手順はこちらをご確認ください:(FAQリンク)」
「pri」→「プリンタのトラブルシューティングはこちら:(FAQリンク)」
「ty」→「ご連絡ありがとうございます。確認して折り返しご連絡します。」
「done」→「対応完了しました。他にご不明点があればお知らせください。」
5-2. 対応時間の「見える化」で上司を味方に
月次で「問い合わせ対応レポート」を出すと、業務負荷を理解してもらいやすくなります。
【月次レポート例】
■ 2025年12月 ヘルプデスク対応レポート
・問い合わせ件数:48件(前月比 -12件)
・総対応時間:24時間
・平均対応時間:30分/件
【カテゴリ別】
1位:パスワード関連 12件(25%)
2位:プリンタ関連 8件(17%)
3位:ネットワーク 7件(15%)
【改善効果】
・FAQ公開後、パスワード関連が40%減少
・問い合わせフォーム導入で対応漏れゼロ
【今後の施策】
・プリンタFAQの拡充
・VPN接続マニュアルの作成
5-3. 「まずFAQを見て」を促す仕組み
Googleフォームの冒頭に「FAQは確認しましたか?」を入れると、問い合わせ前にFAQを見る習慣がつきます。
【フォーム冒頭に追加する文言】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
📌 お問い合わせの前に
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
よくある質問は【社内FAQ】にまとめています。
まずはこちらをご確認ください👇
https://xxxxx(FAQへのリンク)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□ FAQを確認しました(チェックボックス・必須)

「FAQ見た?」と口で言うより、仕組みで促すほうが効果的です👍
まとめ:今日から始める3ステップ
ヘルプデスク効率化は、小さく始めて育てるのがコツです。
【今日から始める3ステップ】
STEP1:1週間、問い合わせを記録する
→ 何が多いか把握する
STEP2:上位3カテゴリのFAQを作る
→ 「2回聞かれたらFAQ化」をルールに
STEP3:Googleフォームで受付を一本化
→ GASで通知を自動化
有料ツールがなくても、Googleの無料ツールだけでここまでできます。
私はこの方法で、月60件の問い合わせを30件以下に減らしました。空いた時間で、本来やりたかった改善業務に取り組めるようになりました。
ぜひ試してみてください!

ひとり情シスでも効率化はできます!「問い合わせ対応に追われる毎日」から脱出しましょう💪


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