社内SEが実践する、トラブルを防ぐ新システム導入のコツ

はじめに

システム刷新は社内SEにとって最もエネルギーを要する業務の一つです。旧システムの運用を止め、新システムへのスムーズな移行を行うには、綿密な計画と現場への配慮が不可欠です。そこで参考になるのが「トヨタ式カイゼン」の考え方です。

本記事では、トヨタ式カイゼンに学ぶ「ムダを省く・現場を尊重する」視点から、社内SEが新旧システム移行を成功させるための立ち回り方を解説します。

旧システムからの移行をスムーズにするには

1. いきなり止めない、並行稼働の期間を設ける

新システム導入と同時に旧システムを停止するのは非常にリスクが高く、現場混乱の原因になります。一定期間、両方のシステムを並行稼働させ、業務の切り替えやデータの正確性を慎重に確認しましょう。

2. 移行に関わる現場担当者の声を聞く

移行で発生するミスや摩擦の多くは、現場との意思疎通不足に起因します。現場での実作業に携わる担当者の不安や疑問を拾い上げ、それに即した対応を取ることが大切です。

3. 「少しずつ改善」視点で段階的に切り替える

トヨタ式の真髄は、「一気に変えず、少しずつ確実に改善する」ことです。社内SEも、いきなり完璧を目指すのではなく、小さく始めて、使いながらブラッシュアップしていくスタイルが推奨されます。

新システム導入時の注意点

1. 機能を詰め込みすぎない

欲張って多機能を盛り込むと、運用が煩雑になり、現場での混乱や放棄に繋がります。まずは最小限の必要機能からスタートし、現場の声を反映させて段階的に広げていくのが理想です。

2. 教育とマニュアルはセットで用意

どれだけ便利なシステムでも、使い方が分からなければ現場では浸透しません。操作教育の場を設け、マニュアルやQ&A集を紙・デジタルの両面で整備しましょう。

3. トライアル期間を必ず設ける

正式運用の前に、一定期間テスト導入することで、現場とのギャップや不具合を洗い出し、軌道修正できます。焦って本番導入せず、「現場のフィードバック→改善」の流れを大事にしましょう。

トラブルを防ぐ移行計画とは

1. スケジュールは余裕を持って

新システムの稼働タイミングは繁忙期を避け、余裕のある時期に設定しましょう。また、予備日や再調整可能なタイムラインを組むことで、焦りによるミスを防ぎます。

2. ロールバック手段を確保する

万が一、新システムに重大な障害が発生した際には、旧システムに一時的に戻す「ロールバック」計画が必要です。データのバックアップ体制も含めて、事前に整備しておきましょう。

3. 関係部署との連携と報告フロー

IT部門だけで判断せず、ユーザー部署と定期的に状況共有を行いましょう。トラブル時の連絡先や、責任分担の明確化も、移行トラブルを未然に防ぐポイントです。

まとめ

トヨタ式カイゼンの思想をベースにすれば、新旧システムの移行も「急がず、ムダなく、みんなで進める」ことができます。社内SEは単なる導入担当ではなく、現場と一緒に改善を育てていく伴走者です。